2005年05月27日

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(飛行艇の時代:4)旅客用飛行艇の絵葉書2葉

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ここに2葉の絵葉書がある。

何れもフロリダ州マイアミのパンアメリカン航空のターミナル風景である。
2葉とも、主役はターミナルビルと観光客のように見えるが、実はクリッパーなのである。

一葉は左端にクリッパーの船首が横顔を覗かせている。
操縦室の窓の下にパンアメリカンの、翼をつけた地球を描いた懐かしい社章が見え、その上に「Southern Clipper」の艇名が読み取れる。

この艇は、シコルスキーのS40型である。
4発ではあるが艇体は小ぶりで、カリブ海路線専用と言っても良い飛行艇であった。
絵葉書の欄外には「19トンで乗客定員40人」と書かれているが、S42でも座席で最大32席、寝台仕様にすると14名と言われているから無理であろう。

外見上の特徴は、主翼と尾翼を艇体の上方に支柱で持ち上げた独特のスタイルであった。

別の絵葉書は、S40の経験を活かしてシコルスキーが開発した名機S42である。
後にパワーアップしたS42A/Bとして生産されている。

艇体を尾翼のある後端まで伸ばし、キャビンの窓は大きな丸窓になった。
キャビンの内部写真を見ると、向かい合わせの席の間のクロスを掛けたテーブルで本格的ティータイムが楽しめたようである。

絵葉書の注釈で飛行艇を「SHIP」と書いてあるのが面白い。

この当時、一般人には飛行機や飛行艇は高嶺の花であり、飛行艇の到着する午後にはこれを見物するために、よそ行きの格好で集まっていたらしい。
その当時、陸上機での海外旅行は無理であり、外国から帰国するのは飛行艇であった。
パンアメリカンのマイアミ・ターミナルは見物客のパラダイスであったと言う。

クリッパーはトラクターに曳かれて格納庫に収容された。
海水に浸けたままでは艇体の軽金属が腐食するのである。

現在、飛行艇や水上機が広範囲に使用されていないのは、艇体やエンジンを潮気から守るための維持・保守が大変だからである。


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