2005年06月05日

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(飛行艇の時代:7) 郵便輸送業務

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これまで見てきたように、郵便輸送業務というのは非常に重要であったことが判る。

各国政府も、郵便物を搭載するという名目のもとに国家予算で多額の海運支援をしているし、飛行船や飛行艇を含む航空機にも長年にわたって援助を続けてきた。

郵便輸送は航空機の開発目的にも掲げられており、ここで紹介したドイツのブローム&フォスのHa139水上機や、イギリスのエンパイア飛行艇のほかにも、ハインケルHe70,He116,ボーイング・モノメールなどは郵便機として開発されている。

第二次大戦でナチスドイツの代表的爆撃機であったHe111も郵便機として開発されたのである。

アメリカでは第一次大戦後、空中サーカスなどで有名になったカーチスジェニィなども郵便機として広く使われていた。

大西洋単独横断で有名なチャールズ・リンドバークも一介の郵便飛行士だった。

童話「星の王子様」の著者サンテクジュペリもアフリカで郵便機の操縦や、その飛行場の管理者として従事している。

飛行船でも、世界一周飛行をしたグラーフ・ツェッペリンは東京で降ろした郵便物が7700通、東京で積み込んだものが5500通という数値から、運んだ郵便物は3〜4万通に上ると推定している筋もある。
1通の封書の郵送料が、当時の学卒初任給の1割と言うから使用された切手の額面合計は時価に換算して10億円に近くなる。
このほか、各国でツェッペリン飛行船の図柄をデザインした切手が大量に発行されているのでコレクションとして未使用のものを考えるとこの数倍になるかも知れない。

いま、定期運航している飛行艇や飛行船はないが、航空機でも船舶でも通常の定期便には必ず郵便袋が積み込まれる。

クルーズ客船でも、その船の消印を使っているものがある。
船舶は、無線局であり、郵便局なのである。
(船舶の通信長のことを「通信長」と呼ぶのは門外漢で、知っている人は「局長さん」と呼ぶ)

ここに掲げたポスターは、1937年に発行されたアメリカの郵便公社のポスターである。

航空機もルートマップもパン・アメリカンのものであるが、カリフォルニアからハワイを経由して、マニラや香港に到達している。

飛行艇はマーチンM-130である。

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