2005年06月21日

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(飛行艇の時代:14) カナディア CL-215/415

CL215.jpg

一昔前の飛行艇の話が多かったが、18日に続いて、現役で活躍している飛行艇を取り上げる。

カナディア CL-215/415 である。

CL-215は、カナダのような深い森林地帯の消火用に開発された飛行艇である。

カナディア社は1960年代はじめに幾つかの基本設計を行なったが、そのひとつがCL-204飛行艇であった。

それを荒天時にも稼動できるように改良されたのがCL-215である。

プラット&ホイトニィR2800エンジンを2基搭載し、湖や川で水面を約130km/hで滑走することによって5立方mの水を掬い取り火災現場に投下する構想であった。

1966年に開発がスタートし、ケベック州に20艇、フランスの防災局に10艇作ることになった。
初飛行は1967年10月23日で、カナダの形式証明を1969年3月に取得し、6月から引渡しが始った。

ケベック州は発注を15艇に減らしたので、残りはフランス・スペイン・ギリシャに引き渡された。
1,2年後に、スペインとギリシャが追加発注し、さらに20艇が生産され、23年以上にわたって125艇生産された。
それらはカナダの6州、2テリトリーに加えて、フランス、スペイン、ギリシャ、イタリア、ユーゴスラビア、タイ、ベネズエラに納入され、1990年に生産は終了した。

昨年11月時点で稼動中のCL-215は、ギリシャ:14、スペイン:5、イタリア:4、ポルトガル/スペイン:2、タイ:1、アメリカのノースカロライナ州:1、ミネソタ州:2、その他アメリカ:2、カナダのアルバータ州:7、マニトバ州:7、ニューファンドランド州:6、ノースウェストテリトリー:6、ケベック州:4、サスカチェワン州:6の合計67艇である。
従って損失とリタイアしたものの合計は58艇となる。

タイ王国軍では、CL-215を捜索救難用に用いており、ポルトガルの航空会社エアロコンドルは貨物や人員の輸送のほか、CL-215を使って消火活動も行なっている。

星型ピストンエンジンに換えてPWのターボプロップにしたCL-215Tの稼動状況は、スペイン:14、ケベック州:2、合計16艇で、損失/退役は1艇である。

これを改良した新型の CL-415(水容量:6トン)の稼動状況は、フランス:11、ギリシャ:10、イタリア:16、クロアチア:4、オンタリオ州:9、ケベック州:8、メーカー所有機:1、損失/退役;3、と合計62艇生産されている。

前回紹介した新明和のUS−2も、消防艇として輸出が検討されているが、US-2の場合、CL-415の倍以上の水容量があるので大型森林火災には適していると見られ、フランスやギリシャなど欧州諸国から数十件の引合いがあり、アメリカにも需要が見込めると報じられている。

(註):カナディア社はその後、ボンバーディア社に吸収合併された。

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