2005年07月18日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

(飛行艇の時代:18) ドルニエ WAL

AEI.jpg

このポスターはアエロ・エスプレッソ・イタリアーナのものであるが、描かれている飛行艇はドルニエのWALである。

世界で300艇以上生産された傑作機であり、ドイツのほか、スペイン、オランダ、イタリア、日本などでも生産された。

中でも157〜177艇がイタリアのマリーナ・デ・ピサ社でライセンス生産されたと言われている。
これは、ベルサイユ条約によってドイツ国内で航空機の生産が出来なかったからである。
フリードリッヒスハーフェンのドルニエ工場で造られたものは1932年以降の僅か56艇である。

「ヴァル」は、ドルニエだけでなくドイツ航空史上の名機の一つとされている。

高翼単葉の全金属製で、中心線上 主翼の上にエンジンナセルを前後対称に装備しているのが外観上の特徴である。
前部エンジンはトラクタ型、後部エンジンはプッシャー型のプロペラを駆動する。
翼端フロートはなく、中央部艇体の両側にスポンソンを張り出し、これで浮揚状態の姿勢を保持している。
このスポンソンはパラソル翼支柱の支点にもなっている。

初号機は1922年であるが、その後1924年、1931年、1935年と改良を重ねながら生産された。
当初、偵察など軍用を意図して開発されたが、エンジン・艇内やそれに伴い窓などにバリエーションが多く、郵便機や旅客機など世界中で広く使われ、日本でも川崎造船所飛行機工場(のちの川崎航空機)でライセンス生産されている。

1926年には双発のスーパーヴァル、1927年には4発のスーパーヴァルも作られた。

このブログでも「ブレーメンとオイローパ」の2回目、およびAPPENDIX-1にも関連事項を載せている(ご参考まで)。

1929年から1931年にかけて建造(?)された巨人飛行艇ドルニエDoXにもDoJヴァルの開発で確立された技術が生かされている。

ポスターには、ブリンジシ・アテネ・ロードス島・イスタンブールの地名が見られるが、A.E.I.社はそれ以前からこれらの区間で運航していた。

このポスターが作られて数年後に、アエロ・エスプレッソ・イタリアーナは、他の3社と合併し、アラ・リットリアとなっている。

Comment on "(飛行艇の時代:18) ドルニエ WAL"

"(飛行艇の時代:18) ドルニエ WAL"へのコメントはまだありません。