2006年05月05日

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(飛行艇の時代:54) 飛行艇を考える(1)

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いままで、このカテゴリーは「飛行艇の活躍した頃」としていたが、今日(5月5日)カテゴリー名を「飛行艇の時代」と改訂した。

他のカテゴリー名が名詞であるのにここだけ句(節)であったこともあるが、「〜活躍した頃」という見出しは如何にも過去のものだったような印象がある。
これがカテゴリー名を改訂した理由である。
私は飛行艇が過去のものだったとは思っていないのである。

現に平成16年度の日本造船学会講演会で発表された論文「日本の飛行艇の現状と将来」(新明和工業:明石克人)では『12人乗り以下の機体(註:小型飛行艇・水上飛行機の登録数)は合計5000機程度となっているが、10000機程度存在するという統計もある。』と述べられている。

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この講演会では上記論文のほかに「水上飛行機の新たな可能性」「飛行艇の水面近傍飛行特性」などの論文が発表されており聴講のため上京したが面白かったことを憶えている。
同学会は2005年6月、関西造船協会・西部造船会と統合し日本船舶海洋工学会となったので造船学会としては最後の講演会であった。

飛行艇の運航を可能にするには何が必要であろうか?

1回や2回飛ばしてみるだけなら機材と要員と法規を含む環境が整えば難しいことではない。

しかし、定期運航を持続させるにはそれだけでは済まない。

ちょっと考えただけでも
◎艇体の開発・設計・製造・維持保守等に関する技術
◎環境・基地整備(陸上機と共通のもの、飛行艇特有のものを含む)
◎企業体としての体制整備(運航管理・営業活動・安全確保体制・要員教育など)
◎法律・条例等の適用(要すれば改正も含む)
などが思い浮かぶ。

しかし、飛行艇の運航されているところはそれなりの必然性があって実現されている。

我が国も、小笠原諸島・南西諸島・先島諸島・千島列島など飛行艇の運航が検討される区間や空域は多い。

しかし、簡単に人が行けるようになると自然環境が破壊されたり、俗化したりその地域にプラス面ばかりではない影響を生じる。

小笠原は東京都下にありながら都庁から海上を1000㎞以上隔てられ、陸上飛行機のための飛行場建設の話や飛行艇による定期運航の話が出ながら何れも実現されていない。

TSL(テクノ・スーパー・ライナー)も建造されたが運航採算にのらないと引き取りを拒否され宙に浮いている。

ときにはそんなことも考えてみようと思っている。

見出しの切手は南太平洋ツバルの飛行艇シリーズ切手である。

4枚の切手それぞれにヌクラエラエ・バイツプ・ヌイ・フナフチの各環礁上空を飛ぶグラマン飛行艇が描かれている。


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