2006年09月23日

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(飛行船:105) 飛行船メモ(3) −飛行船は船である−

JA101Z_Dejima_2.jpg

先日ブイヤント航空懇談会総会に出席した。

そのとき入手した機関誌「ブイヤント航空」にはLZ-127「グラーフ・ツェッペリン」が飛来した土浦市の「土浦ツェッペリン倶楽部」の活動状況が掲載されていたが、そのなかに格納庫をもつ飛行船基地を建設する案に茨城県と土浦市が調査費を予算化したと言う話が載っていた。

飛行船は海上の船舶と同じでバウを繋留柱に繋いでおくと風向きにより繋留柱を中心に360度振れ廻る。

風向きにより振れ廻っては地上作業の支障も出るので格納庫に入れることが望ましい。

このため一時大戦中にドイツには沢山の格納庫が造られ、戦後賠償として連合国側に引き渡された。
1929年に飛来した「グラーフ・ツェッペリン」が収容されたのはドイツから賠償で移設されたものであった。

前回も述べたように飛行船は飛行機よりもずっと船に近い。

振れ廻りのことは上述の通りであるし静的揚力/動的揚力のことは前回述べたのでそのほか船と共通することを述べてみたい。

飛行船には船首に舫綱(ヨーライン)が下がっている。
船尾や船腹にもあるがこれは地上員が操船するために必要である。
飛行機には舫綱はない。
飛行艇には船首に軽金属の錨があるが、あれも空飛ぶ艇だからである。

飛行船も操縦席に舵輪がある。
船には方向舵のみであるが飛行船ではこのほかに昇降舵もある。
飛行機の場合、この代わりに操縦桿がある。
小型機ではスティック状で、大型機は両手で握るようにハンドル型である。
但し、グルグル回すものではなくわずかに傾けるだけなのでハンドルの上の部分はない。沢山ある計器を見るのに邪魔だからないのである。
最新式の飛行船はジョイスティックで操船もあるが、船舶でも欧州の大型フェリーなどは同様の方式が採用されている。

また、大型飛行船ではブリッジの後に海図室、近くに船長室があるのも船と同様である。
飛行船は船舶と同様に飛行中は24時間制の当直勤務体制が取られる。
飛行機は飛行時間が短いのでその必要がない。

このほかコックピットをブリッジと呼んだり、左舷/右舷をポート/スターボードと呼ぶなど飛行機が船舶から受け継いだことも多いので船舶と飛行機を対比することもあまり意味がない。

写真は6月10日に飛来したJA101Zが出島の埋立地に着陸するときに撮影したものである。
ノーズコーンからヨーラインを垂らしているのが判る。

Comment on "(飛行船:105) 飛行船メモ(3) −飛行船は船である−"

6月のNT飛来時には、つくばあたりもうろうろしているのを見かけました。

左舷/右舷ですよ。
Portside/Outward/Starboard/Homeward
でしたっけ?

切田さん
ご指摘ありがとうございます。
うっかりしていました。
私は造船設計技師に成り立ての頃、先輩から「赤玉ポートワイン」と教わりました。
左利きというのは飲み助のことですが手酌のとき左手を使うからでしょうね(笑)。

左利きのいわれは色々あるそうですが、大工が鑿を持つのが左手で鑿手(のみて)、玄翁を持つ左手を槌手(つちて)とよぶそうです。
地中海航路で、行きも帰りも日陰のキャビンが高価だったとかで、贅沢品の事をposhと言ったそうな。
みんな造船学科の授業で仕入れた情報です、37年程前に。