2007年05月22日

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(飛行船:332) 丁亥飛行船紀行(18) ボーデン湖を翔ぶ(5:GPS)

Cockpitpanel.jpg

飛行中の操縦席パネルである。

このツェッペリンNTにもGPSが装備されている。

右中央に緑と青で地図の描かれている液晶画面がそれである。
ちょうどマイナウ島の上空に居ることを表示している。

GPSとはグローバル・ポジショニング・システムのことで、地球の周りに多数打ち上げられた人工衛星からの電波を受信して、地球上の位置を測定するシステムである。

元々は米国が開発した軍事用航法システムであったが、一般にも開放されカーナビゲーションシステムとして広く使われている。

経度・緯度で位置を測定するだけでなく高度も測定できるので、本格的登山家などは腕時計型のGPSを携行している。

陸標のない大洋を航行する場合、以前にはNNSSなどのシステムが使われていたが、精度が悪く海図と照合するとその船舶の位置が海岸線の道路より山側に表示されることもあったが、GPSでは測定方法によって数m〜数十m程度の精度がある。

1920年代後半に「LZ-126:ロサンゼルス」を合衆国ニュージャージーのレークハーストに納入したり、「LZ-127:グラーフ・ツェッペリン」で大西洋や太平洋を渡るときは大変であった。

「グラーフ・ツェッペリン」の操縦室正面にはマグネットコンパスとジャイロコンパスがあり、無線室にはテレフンケンの長波・短波送受信機とともに方位測定装置が装備されていた。ラジオ・ビーコンは大雑把で役に立たなかったとハロルド・ディックはその著書で述べている。

飛行船は大きく比較的低速のため偏流の影響を受けやすい。
このため常に偏流を測定し、針路を補正していた。
夜間は350万キャンドルの探照灯を使用していたという。

彼らは1800マイルも海面しか見えない大洋をこの航法で飛行し、予想時間と数分違いで大西洋の孤島フェルナンド・デ・ノローニャを正面に発見したとレポートしている。

当初、大洋を航行中は洋上の船舶と交信し、その船から位置を訊いて航行する予定であったが海上の船舶は25〜50マイルも自船位置を誤認している場合もあったという。

このツェッペリンNT型飛行船「D-LZZF号」はボーデン湖の沿岸を30分から1時間程度(一番長くてシャフハウゼンのラインの滝往復で2時間)航行しているので有視界飛行であるが、GPSのおかげで天測航法も安心である。


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