2007年08月25日

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(飛行船:429) アルバム第2集(写真:第6回) 写真6 −墜落した飛行船−

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[6枚目:ノルウェー海岸に墜落した海軍飛行船]

当時の飛行船は積載能力も乏しく、後期には照準器も搭載していたが照準精度も悪かった。

畑に爆弾を投下したのをみたイギリス人は、本気か皮肉か兵糧攻めを意図しているのかと言ったという逸話もある程で、爆撃の実効は軽微なもので精神的な効果の方が大きかった。

飛行船の、事実上の軍事的効用は索敵と洋上哨戒にあった。

Hochseeflotte.jpg
(H.J.Nowarra 著 "Deutsche Luftschiffe" から転載)

1916年5月31日から翌日にかけて、ユトランド半島沖で英独の主力艦隊同士の艦隊決戦が行われた。
両軍とも勝利を主張したが、被害はイギリス側の方が大きかった。

エッケナー博士も著書の中で述べているように、このとき上空から戦況を監視していた海軍飛行船からの通報で多大な被害を免れている。

このようにデンマークからノルウェー沖にかけて多くの飛行船により哨戒・偵察が行われていた。

写真の飛行船もそのうちの1隻なのであろう。
H.J.Nowarra 著 "Deutsche Luftschiie " には1916年5月3日にノルウェーのスタバンゲルで漂着したL20(LZ-59)の写真であると紹介されている。

第二次世界大戦直前にも「ヒンデンブルク」の同型船「グラーフ・ツェッペリン(Ⅱ)」が何度かイギリス沿岸で通信網偵察や情報収集の飛行を行っている。

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[註]無線通信
1895年にイタリアのマルコーニが発明した無線通信装置は甚だ心許ないものであったが、彼は英国南岸ボーンマスとワイト島の間で交信実験を続け、イギリス、フランス、イタリア、日本海軍が軍艦・軍港相互に実用実験を行っている。

商船の事例ではタイタニック海難の3年前、1909年にアメリカ東海岸沖で濃霧のため米国商船リパブリックとイタリア商船フロリダが衝突した海難でリパブリックの発信した無線で救助船が30分以内に到着し、1700名もの人命が救助されている。

世界大戦の頃は両軍とも無線通信を実用化していた。


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