2009年02月04日

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飛行船四方山話(91): ドイツ以外の硬式飛行船(6)

R31_1.jpg

イギリスの硬式飛行船(5)

[区分] 一般・歴史
[難易度]中級

[問題]
イギリスの飛行艇メーカーで、のちに「エンパイア」など名艇を生み出したショート・ブラザーズ社は第一次世界大戦中に硬式飛行船「R31」、「R32」を建造しました。
この飛行船の主構造材料は次のうちのどれでしょうか?

 1. 合板(木製)
 2. アルミニューム合金
 3. デュラルミン
 4. 複合材

[答] 1

[解説]
この飛行船については戦時中のスパイ活動でドイツの飛行船技術がもたらされたものと言われています。
ドイツの飛行船メーカー:シュッテ・ランツ社に勤めたことのあるスイス人、ヘルマン・ミュラーという人物が「SL6」の図面などの資料をイギリスに持ち込んだものというのです。
「SL6」は合板製で、エンジンは4基搭載していました。
「R31」はそれをプロトタイプにしていますが、前後のエンジンは左右に2基並べて合計6基にしています。
船体もデッドコピーではなく、ツェッペリンでもシュッテ・ランツでも主船体から懸垂されていた操縦ゴンドラを、「LZ120」や「LZ127」のように主船体に固定した構造とし、近代的飛行船の形態をなしています。
「R31」は大戦中の1918年8月1日に初飛行していますが、11月6日までに僅か9時間足らずの飛行をしただけで解体され、「R32」は1年後の1919年9月3日に初飛行しています。
どうやら合板の糊(接着剤)の不具合が原因のようです。
後年、イギリスは「モスキート」や「ランカスター」のような木製の名機を開発しているのですが当時はミュラーの情報だけで試行して苦労したようです。
主要目は、全長187.3m、平行部直径20.1m、ガス容量44000立方mでした。

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