2009年02月06日

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飛行船四方山話(93): ドイツ以外の硬式飛行船(8)

R36_1.jpg

イギリスの硬式飛行船(7)

[区分] 一般・歴史
[難易度]中級

[問題]
ビードモア社で建造された飛行船「R36」には乗客用のツインキャビンが並んでいました。
この飛行船の乗客定員は何名でしょう?

 1. 10名
 2. 30名
 3. 50名
 4. 70名

[答] 3

[解説]
「R36」と「R37」は1917年1月5日に発注され、「R36」はビードモア社のインチナン工場で、「R37」はヴィッカース社で建造開始されました。
このときの計画では「R33」型を前方に延長したかたちで建造されることになっていました。
しかし、捕獲されたドイツ海軍飛行船「L49」の情報が1917年秋にもたらされると、海軍省に新設された飛行船設計部でその情報が「R36」級に反映されて設計が変更されました。
ヴィッカースはランカシャーに建造用格納庫を新規建設せねばならず、結局カーディントンにあったショート・ブラザーズ社に移管されましたが休戦で建造は中断となりました。
カーディントンは1919年に国有化され「R37」は官営工場に移管されたのち、構造がほぼ完成した状態でキャンセルされています。
「R36」は「L48」級を10m延長して全長205mとなり、エンジンは英国製の350馬力サンビーム・コサック3基と、捕獲した「L71」から取り外した245馬力マイバッハⅣa が混載されました。
「R36」は1921年4月1日に初飛行しています。
そのとき、同船には長さ40mの客室が直接船体に取り付けられ、50名用のツインキャビンが用意されていました。
しかし、このような用途に不向きな同船は生涯で100時間も飛行していません。
1921年4月5日、飛行中に上部垂直尾翼と左舷水平尾翼が壊れ、高度1800mから900mまで急降下しています。
さらに、6月21日にはプルハムの繋留柱にマストオンしようとして損傷し、格納庫に入れるときにも船体を傷めています。
そのまま1924年まで放置されていましたが、イギリスの新飛行船計画で新造される大型飛行船のために必要な気象などのデータを取得するためにエジプトに飛ぶことになりました。
1925年に高い修繕工事は完了しましたが、その飛行には使用されることなく1926年6月にスクラップされています。


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