2009年04月01日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

飛行船四方山話(144): 硬式飛行船の自動調整弁

飛行船には自動調整弁が設置されている・・。

[区分] 飛行原理・揚力調整
[難易度]上級

[問題]
飛行船のガス嚢には自動調整弁がついています。
自動調整弁の機能は次のうちどれでしょうか?

 1. 浮揚ガスが不足したとき、ボンベからガスを供給する
 2. 上昇し過ぎないように外圧との差が設定値を超えるとガスを放出する
 3. 前後のガス嚢間で浮揚ガスを送受し姿勢保持を図る
 4. 一定高度を保持するように浮揚ガスを吸排気する

Zeichnung1.jpg

[答] 2

[解説]
飛行船が一定高度を維持するためには浮力と重力がつり合っていなければなりません。
重力が大きすぎると沈降を始め、浮力が大きいと上昇を始めます。
浮力(揚力)には静的浮力と動的浮力があり、浮揚ガスは静的揚力を分担しています。
動的浮力は大気と船体の相対速度で生じるものでプラスにもマイナスにもなることがあります(静的揚力、動的揚力参照)。
外気の圧力は場所により、時により、気温により変化しますが上空に行くほど低くなります。
投棄するバラストを使い果たすと上昇し続けて降りられなく場合があります。
そのため、外気圧が下がって圧力差が設定値以上になると自動的にガスを放出する自動調整弁が設けられていました。
長距離の飛行では、こうして浮揚ガスとバラストを消費してゆくので運航には神経を使っていました。

カラチに行くために飛び立った「R101」は寄港地イスマイリアに向かったのですがフランス北部の丘陵地帯で墜落しましたが、この飛行船には左右に僅か傾くと自動調整弁が作動するようになっていたとも言われています。

参考図の断面中央やや上に自動調整弁に位置が印してあります。そこから頂部へは排出用ダクトが設けられているのが判ります。


Comment on "飛行船四方山話(144): 硬式飛行船の自動調整弁"

"飛行船四方山話(144): 硬式飛行船の自動調整弁"へのコメントはまだありません。