2009年04月05日

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飛行船四方山話(148): ティルト方式の硬式飛行船

NTtilt.jpg

硬式飛行船でもティルト方式プロペラを装備したものがあった・・。

[区分] 基本設計・推進方式
[難易度]中級

[問題]
準硬式飛行船ツェッペリンNT型などでは、飛行中に自由にプロペラの向きを変えることの出来るティルト方式が採用されていますが、硬式飛行船でもこの方式のものがありました。それは次のうちどれでしょうか?

 1. LZ126:ZRⅢ
 2. SL21
 3. R38
 4. ZRS4:アクロン/ZRS5:メーコン

ZRS5_1.jpg

[答] 4

[解説]
初期のツェッペリン飛行船はゴンドラにエンジンを搭載し、そこから傘歯車で主船体両舷のプロペラまで回転軸でトルクを伝達していましたが動力伝達効率が悪いのでエンジンゴンドラの原動機にプロペラを直結するようになりました。
それ以降、この直結方式が当たり前になりました。

ドイツのツェッペリン飛行船製造社とアメリカのグッドイヤーが合弁で設立したグッドイヤー・ツェッペリン社で米海軍から受注したZRS4(アクロン)と同型船ZRS5(メーコン)ではエンジンを主船体内に装備し、回転軸を介してプロペラを駆動する方式を採用しています。
回転軸の先端のプロペラを首振りにすることでティルト方式が実現できました。

このティルト機構を採用することで、前後だけでなく上下方向の調整も容易となり、離着陸時の操船がやりやすくなりました。
これを採用することが出来たのも、アメリカでは浮揚ガスにヘリウムを用いていたので引火の危険性なくエンジンを主船体内に設置出来たからです。
航行時には空気抵抗の大きいエンジンゴンドラがないので推進性能も向上しました。

現在ドイツや日本で用いられている準硬式飛行船ツェッペリンNTでは、このチルト方式に可変ピッチプロペラを併用しており、僅かな地上支援員だけで運航されています。

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