2009年08月26日

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雑誌「世界の艦船」10月号(通巻712号)

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標記雑誌を近くの書店で求めてきた。

本号の特集記事は「ソマリア沖対海賊作戦」と「北極海のシーパワー」である。

両特集とも物足りないものを感じた。

「ソマリア」では、現場海域で出来ることは知れている。
たった隻の艦艇を派遣することは如何にもその場しのぎで、根本的対策にはならない。
無政府状態になったソマリアの漁民たちが生き延びるために航行する船舶を襲っているのである。
「ソマリア」に対する民生支援が効果あるものになれば、必ずこのような危険な不法行為は姿をひそめるはずである。
その前提として、この地域を安定させ、住民が生活できる基盤を作ることが急がれているのである。
米露など大国が牽制しあって何もしない。
こんなときこそ日本の政府あるいはNGOが国際支援に乗り出すべきである。
海運なくして存在し得ない日本でありながら、政府は海賊被害に危機感を抱いた日本船主協会からの強い要望により護衛艦2隻を派遣したものである。
その辺りの発生原因や対策の提言もない。
前統幕長と同誌編集部の対談を4ページも載せるのであれば、「あたご」の事故に見られるような使命感や士気の欠如について追求しても良いのではないだろうか?

「北極海のシーパワー」の方はさらに失望した。
北極海航路の可能性や同海域の資源開発についての特集であるが、この中に北極海探検小史という記事がある。執筆は国立極地研究所名誉教授だそうである。
そのなかに「空からの北極点到達」という項があるが、アムンゼンが半硬式飛行船ノルゲで北極横断飛行したことや、ノビレが同イタリアで遭難し、捜索にあたったアムンゼンが遭難死したことは載っているが、硬式飛行船「グラーフ・ツェッペリン」の北極探検飛行については触れられていない。
1931年7月に、ドイツ、アメリカ、ロシア、スウェーデンから地理学者、気象学者など専門家十数名を乗せ、特別に開発された観測機材で一週間にわたる観測で大きな成果を上げている。
このほか、フランツヨーゼフランドでロシア砕氷船マリギンと郵嚢を交換したり、スカンジナビア探検飛行も行っている。
飛行機が搭載量もスペースも限られており振動・騒音でデリケートな観測が出来ないのに対し、硬式飛行船は空飛ぶ研究室と言えるほど観測に適していた。
現在でも上空からダイアモンドその他鉱床の探査に用いられるほどである。

今回で第19回になるソ連/ロシア巡洋艦建造史もつまらない。
数十年前に設計された、そして今は存在意義もない外国の巡洋艦建造史をそれほど続ける意義があるのだろうか?
その頃の国際関係や就航予定海面との関連も、同時期の他国艦艇との関連もなく兵装や機関出力を羅列しても、デザインフィロソフィーもポリシーも見えてこない。
埋め草にしては念が入っている。
未だにこの連載の意味を解しかねている。

かつて定評のあった、ある航空雑誌の評価が低迷している。
通巻数百号になるとマンネリになるのであろうか?

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