2010年01月09日

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「グラーフ・ツェッペリン」が世界周航の準備を進めていたとき

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硬式飛行船「グラーフ・ツェッペリン」は1929年5月16日に2度目の渡米飛行に出発したが、翌日ローヌ渓谷から地中海に出てスペイン東岸に沿って航行中エンジンにトラブルが発生し、フランスの飛行船基地に緊急着陸した。
4基のエンジンを特別編成の列車でフリードリッヒスハーフェンから送られてきたエンジンに換装し、5月23日に母港に向かって帰途についた。
それから2ヶ月掛けて徹底的に修復が行われ、7月には試験飛行が開始され、8月1日には世界周航の出発点に指定されたニューヨーク郊外レークハーストに向けて飛び立ったのである。

その2週間前の1929年7月16日、北ドイツロイドが建造したスーパーライナー「ブレーメン」がブレーマーハーフェンからニューヨークに向けて処女航海に出航した。

フランスのシェルブールに寄港して大圏航法でニューヨークに向かいイギリス・コーンウォール半島先端シリー諸島のビショップ岩礁からニューヨーク港外のアンブローズ水路燈台船までの3164浬を4日17時間42分で走破し(平均速度27.83ノット)、キュナードの「モーレタニア」が20年保持し続けたブルーリボンを奪還したのである。

世界を驚かせたのは北大西洋横断速度記録や、バルバスバウ、太く短い2本煙突、上部構造前面をなす美しい曲面で知られるエポックメーキングな船容だけではなかった。

ニューヨーク入港18時間前に、その特徴ある2本煙突の間に設置されたハインケルK2型カタパルトから、ハインケルHe12型郵便機を発進し、1時間半後にハドソン川に着水した。
当時まだ大西洋を跨ぐ航空郵便は夢であったが「ブレーメン」は本船入港の半日前に郵便物を届けることを可能にしたのである。

写真はブレーマーハーフェンから処女航海に出発するスーパーライナー「ブレーメン」である。


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