2010年04月17日

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飛行船の乗船技師

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「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の世界周航に乗務したアルバート・ザムトの担当配置は何であったのだろうか?

彼自身の著書「ツェッペリンに捧げた我が人生」によると、最初は昇降舵手として、その後航海士官を勤めたと記されており、昇降舵手あるいは当直航海士として経験したことが具体的に記述されている。

フォン・シラー船長の著書「世界航空事業の開拓者」の付録には1929年8月25日から9月4日のあいだの乗務員配置表が掲載されているが、これは世界周航で霞ヶ浦からフリードリッヒスハーフェンまで航行した期間に相当する(事前に霞ヶ浦に派遣されていたカール・ボイエルレがここから乗り込むなど多少の配員変更が行われている)。
その配員表ではザムトは昇降舵手として掲載されている。

ところが、フリードリッヒスハーフェンからフリードリッヒスハーフェンまで、いわゆるドイツの世界周航に乗船したフランクフルター・ツァイトゥンクほかの特派員、マックス・ガイセンヘイナーの著書の末尾には「船体技師」として彼の名が挙がっている。

その表には「技師」という職名が多く、ザムトは航海部に、レーマン船長、フレミング船長、フォン・シラー船長、ヴィッテマン航海士、プルス航海士、ラドヴィック航海士、の次に「船体技師」として挙げられており、そのほかに、クヌート・エッケナー、ミュラーの両名が舵手、シェーンヘル、バートシャフト、バウアーが補助舵手として並んでいる。
一般に乗船技師あるいは機関士というのは、機械系の技術者で、同書の配員表にも機関部にウィルヘルム・ジーゲル主任技師のほかロッシュ、グレッチンガー、プファフが機械技師として、またボイエルレが技師として掲載されている。

ガイセンヘイナーも何らかの根拠で配員表を作成しているはずであるが、現在その出典は判らない。

ちなみに、「世界航空事業の開拓者」の付録では、エルンスト・レーマン、ハンス・クルト・フレミング、ハンス・フォン・シラーが当直士官、アントン・ヴィッテマン、マックス・プルス、H.ラドヴィックが航海士、アルバート・ザムト、H.バウアー、フリッツ・バートシャフトが昇降舵手、ルートヴィヒ・マルクス、クルト・シェーンヘル、リヒャルト・ミュラーが方向舵手、ウィルヘルム・ジーゲル、カール・ボイエルレ、カール・レーシュが機関士となっており、クヌート・エッケナーは特任(特命事項担当)とされている。


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