2011年02月08日

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飛行船四方山話(209):硬式飛行船の着陸用車輪

LZ130_wheel_1.jpg

[区分] 設計・降着装置

[難易度] 初級

[問題]
硬式飛行船で最初に着陸用車輪を装備したのはどれでしょうか?

1. LZ120「ボーデンゼー」
2. SL7
3. R34
4. LZ129「ヒンデンブルク」

[答] 4

[解説]
ツェッペリン最初の飛行船「LZ1」以降、硬式飛行船には降着用車輪は装備されていませんでした。
従って着地の際は飛行船の前後から繋留索を投下し、バラスト水を投下して微妙な姿勢制御を行いつつ時間をかけて地表に近づける必要がありました。接地要員が手を伸ばしてハンドレールを掴める高さになると200人を越える人々によってスタブマストに繋留され、格納庫の中まで誘導されました。
後にレールに載った可動繋留柱も使われるようになりましたが、相変わらず多くの地上要員を必要としたのです。
イギリスでは昇降機を備えたハイマストが開発され、飛行船は空中に浮遊したまま乗客を乗下船させて地上要員を大幅に減らす方式を採用しました。
しかしDELAG(DZR)はスタブマスト方式で運用していたので「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」では繋留に時間を要していました。
「LZ129:ヒンデンブルク」の設計時にはこれらの運用実績が考慮されて操縦ゴンドラに車輪が設置されました。
このため接地したあと多少行き脚が付いていても支障なく地上を移動することが可能となりました。
1912年からツェッペリン飛行船に乗り、後に飛行船船長・飛行船指令の資格を得て「ヒンデンブルク」の同型船「LZ130:グラーフ・ツェッペリン(Ⅱ)」の指令になったアルバート・ザムトはこの降着用車輪のおかげで着地時の操船が非常にやりやすくなったと述懐しています。

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