2012年05月27日

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ツェッペリン新時代の足音

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飛行船は、その名の通り空を征く船である。

飛行機は数百機、少なくとも数十機量産しなければ開発費が回収出来ないが、飛行船は洋上船舶と同様に1隻ずつ建造される。

第二次大戦前のツェッペリン飛行船は119隻も建造されたが、基本的に個別設計・個別建造である。
船舶と同じように同一の基本設計に基づいて複数隻建造されたこともあったが細部については必ずしも同一ではない。
「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」の主要寸法は「LZ129:ヒンデンブルク」と同じであるが、旅客定員数は大幅に縮小され、居住区は新規に設計された。
「LZ129」のプロペラは推進式であったが、「LZ130」は牽引式に改められている。

戦前、飛行船を建造したツェッペリン飛行船製造有限会社を運営していたツェッペリン財団は戦後ツェッペリン金属工業有限会社として建設機械などを生産していたが、1989年頃からNT型飛行船の開発を進め、1993年に専用会社としてツェッペリン飛行船技術社を設立し、運航会社としてドイツ・ツェッペリン運航社を作った。

プロトタイプの初飛行から数えて14年目の昨年、グッドイヤーから3隻を受注し、6年間にわたって引渡を行う予定である。

ツェッペリンとグッドイヤーは共同で運営・維持だけでなく改良も行って行くと言うからLZ N0−100発表時に提示された中型・大型船も実現するかもしれない。

飛行船は飛行機に較べて桁違いの省エネルギーで運航出来、大気汚染も騒音も少ない。広大な発着場も要らないし、空中停止も出来る。乗客のために広い居住空間が取れるし、万一損傷が起きたとしても軟着陸(水)出来る。

化石燃料を大量に消費し、騒音と大気汚染を撒き散らしているジェット旅客機の時代のあとには必ず飛行船が見直されると思っているのである。

「LZ127」は1928年9月18日に進空して以来、1937年6月18日にフランクフルトに移送するまでのほぼ9年間に74航行(590回の区間運航を含む)で144回大洋を横断した。
なかでもヨーロッパから南米への74往復の定期運航で126回大西洋を横断し、この間一人の犠牲者もなく不滅の実績を確立したとして驚嘆されるが、ツェッペリンNTは遙かにこれを凌ぐ実績を挙げている。


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