2005年05月05日

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(ブルーネル:1)造船技術におけるブルーネルの業績

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イザンバード・キングダム・ブルーネルは、大西洋横断を目的とした木造蒸気船「グレート・ウェスタン」、最初の航洋鉄船「グレート・ブリテン」、巨船「グレート・イースタン」を建造した技術者としてよく知られている。

しかし、彼は土木技師であり、父マーク・イザンバード・ブルーネルに協力してロンドンのテームズ川底トンネルを完成させ、彼の死後に完成したクリプトン吊橋を設計するなど土木技師としての業績も大きい。

さらに彼はイギリスの大手鉄道会社グレート・ウェスタン鉄道の初代技師長としてトンネルや橋、それに駅舎などの建築に才能を発揮し、グレート・ウェスタン鉄道150周年記念にブルーネル賞が設けられた。
鉄道デザインを対象とする唯一の国際コンペである。

グレート・ウェスタン鉄道を立ち上げたブリストルの実業家達が、その頃発明された蒸気機関を用いて大西洋を横断する航洋船舶を運航する計画が具体化し、「グレート・ウェスタン」が建造されることになった。

グレートウェスタン・スティームシップが設立され、1838年に1340総トンの木造蒸気船「グレート・ウェスタン」が竣工した。
これを設計し、建造を担当したのがブルーネルであった。

次に彼は鉄製の船体とスクリュープロペラを備えた「グレート・ブリテン」を建造した。
当初の計画では外車推進であったが、スクリュープロペラの試験船「アルキメデス」の運転成功を見てスクリュー推進方式に変更されたのである。

この船も新しい構造や機構を取り入れた試作船の色合いが強く、何度も改装を重ねた後、フォークランド諸島に放置されていたが、数十年後に思い出され、現在は建造されたグレート・ウエスタン・ドックで保存されている。

その後、彼は鉄道建設の事業に復帰していたが、ゴールドラッシュからオーストラリア移民が増え、海運界が南半球への長距離航路に注目するようになるとブルーネルは巨大な鉄船の設計を行った。
インド・オーストラリアなど長距離を航行するには大量の石炭を必要とする。
寄港地ごとに石炭燃料を用意しておき、寄港するたびに補給していたのでは能率が悪いと考えた彼は、膨大な量の石炭を搭載できる巨船を設計したのである。
これが後の「グレート・イースタン」である。

土木技師であった彼が造船業に与えたインパクトは偉大である。

彼の残した業績には、トンネルや吊橋、駅舎など陸上の構造物・建造物も多いが、主に造船技術に関する事項を取り上げて行くつもりである。


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