2005年07月08日

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(飛行船:11) 飛行機を発進させる飛行船

R23.jpg

ここで、旅客用硬式飛行船に限定しているのは、飛行船も航空機と同様に戦争の手段に用いられ、特に婦女子を含む民間人を無差別に殺傷してるからである。

第一次世界大戦でロンドンを無差別爆撃したドイツ海軍の飛行船は60隻に達し、一般人に多くの被害を与えておりイギリス人はツェッペリンのことを「ベビーキラー」という綽名で呼んでいた。
もちろん、攻撃側もそれなりの危害を受け、ツェッペリン飛行船51隻を失い、士官40名、下士官・兵は339人も戦死している。
(この51隻には事故や地上破壊も含まれている)

ドイツのウィルヘルム2世も、飛行船による無差別爆撃に「フェアな戦争ではない」と否定的であった。
ロンドン爆撃に対し、歴史的建造物やバッキンガム宮殿を避け、イギリス軍基地や軍艦を建造・整備するドックなどに限定せよと命じている。
しかし、前線では一般に、このような制約は理由にもならない理由を付けて実質的に無制限になってしまうものである。

陸軍も20隻以上のツェッペリン飛行船のほかにシュッテ・ランツの飛行船も採用しており、実戦に投入し当然被害も出している。

ドイツ以外の各国ともツェッペリンを参考に飛行船を採用しているが、殆どは軍事目的であった。

戦争は実に愚かしく、非人道的である。

筆者は、技術は人類に貢献しなければならないと思っている。

その意味で「南十字星」や「(旧)紺碧の海」では主として旅客の輸送手段として船舶や飛行艇・飛行船を対象にしているのである。

しかし、戦争は非人道的であり文化を破壊するが、同時に文明(技術)を飛躍的に向上させる。
これは飛行船や航空機だけではない。
認めたくはないが一面の事実である。

旅客用飛行船のポスターだけでは変化が乏しいので、時々旅客用以外の写真を登場させている。

イギリスの軍用飛行船「R23」は、1918年11月8日にソッピース・キャメル戦闘機をフックで吊り上げた状態から空中に発進させた。

上の写真はそのときのものである。
よく見ると中央部船底に小型複葉機が吊られているのが見える。

ドイツもこの年、飛行船から複葉戦闘機を発進させる実験を行っている。

ちなみにイギリスは飛行船を爆撃には使用していない。
対潜哨戒用に8隻程度従事していたのみである。


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