2005年08月05日

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(飛行船:14) グラーフ・ツェッペリンの構造

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LZ-127「グラーフ・ツェッペリン」は、大洋をまたいで航行する長距離旅客用硬式飛行船として初めて計画された、いわば試作船の色合いが強いものであった。

乗務員30人に対して乗客定員は20名では採算に乗らない。
恐らく郵便物などの収入を見込んでいたのであろうが、前例のないことで蓋を開けてみなくては判らないことであった。

最初の設計でもあり、船体内部は上の図で判るように、水素ガスを詰めた気嚢と、点検用の足場・通路だけである。

操縦室も、無線室も、厨房も、ダイニングを兼ねたラウンジも、乗客用の2段ベッドのキャビン10室も、トイレもすべて主船体の下に取り付けられたゴンドラに配置されていた。

30名にも及ぶ乗務員の居室が見あたらないが、恐らく主船体の片隅に郵嚢室などと同様に非番要員の仮眠するスペースが設置されていたのであろう。

下の図は、ゴンドラ部分の前部である。
一番前は操縦室で、方向舵や昇降舵の舵輪が見える。
その後部が航海室で船長がここから総指揮を執る。
その後、左舷側は無線室で、右舷側は電気(電磁ではない)調理器やオーブンのある厨房である。

ドアを隔てて両舷一杯のサロンに通じている。
サロンにはテーブルが4基、ちょっと狭いがディナーには何とか20人着席出来る配置である。
中央には化粧板で覆われた細いピラーが2本強度部材として床を支えている。

サロンの後方は中心線に通路が延びており、両舷にツインのキャビンが10室並んでいる。

その後方両側に洗面室とトイレがある。

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この後建造されたLZ-129「ヒンデンブルク」では、主船体内部に2層のデッキを作り、キャビンやラウンジを設け、乗客定員は50名に拡大された(のちに70名に増設)。

イギリスのR100では、ゴンドラを廃止し、主船体の中に2層のデッキを構築し、客船のダイニングのようにキャビンのあるデッキから階段で下りてくるように作られていた。

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