2006年09月11日

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(飛行艇の時代:64) ショート「サンドリンガム」

Sandringham_sketch.jpg

Cクラスと呼ばれた「エンパイア」を42艇(S23×31艇、S30×9艇、S33×2艇)送り出して飛行艇メーカーとしての評価を得たショート・ブラザーズ社はその発展型(S26)を開発した。
S26型は1号艇が「ゴールデン・ハインド」、2号艇「グレンビル」(後日、「ゴールデン・フリース」と改名)、3号艇「グレナディア」(「ゴールデン・ホーン」と改名)と命名されたためGクラスと呼ばれることがある。

これらの実績から同社は1938年に軍用飛行艇(哨戒・救難・爆撃用)を開発した。
ショート「サンダーランド」である。
間もなく戦争が始まり、ショート社だけでなくブラックバーン社などでも量産された。
合計721艇も作られたという。

第二次大戦末期に「サンダーランド」を改造したS25輸送用飛行艇の運航実績が評価されて1945年にBOACのサンダーランド「ヒマラヤ」(G-IGKX)を引き取って作り直されたのがS25「サンドリンガム」(Mk1)である。

1946年6月22日にデビューした「サンドリンガム」は2層デッキで、プロムナードデッキ・ダイニング・カクテルバーなどを備え、座席で24人、寝台で16人を乗せることが出来た。

アルゼンチン・オーストラリアなど向けに約30艇製造された。

戦後BOACが岩国に乗り入れた際の「プリマス」クラスというのはサンドリンガム5型であった。

ヴァージン諸島では1960年頃まで運航されていたようである。

サザンプトンの航空博物館に現存する唯1艇のサンドリンガム「ビーチコウマー」が保存されている。
1943年にショート社ロチェスター工場で英空軍の「JM715」として完成した艇でタスマン・エアラインの「オークランド」(ZK-AMH)、バリアーリーフエアウェイズの「ビーチコウマー」(VH-BRAC)、アンテリーズエアボートの「サザンクロス」(N-158C)と名前を変えながら生き延びていた艇体である。

軍用の「サンダーランド」もその輸送型も「サンドリンガム」も社内コードはS25であった。
開発・改良に従って型番(MkNo)をつけており「サンドリンガム」の場合「サンドリンガムMk1」とか「同Mk3」「同Mk4」「同Mk5」「同Mk6」「同Mk7」などと呼称していたようである。
「Mk1」は上述の「ヒマラヤ」1艇のみで「ビーチコウマー」のように「Mk3」から「Mk5」に改造されたものもある。

このあとショート社は軍用の「シーフォード」を民間型に改造した大型旅客飛行艇「ソレント」もBOACなどに採用され23艇も運航されている。
「ソレント」も「シーフォード」と同じ社内コードS45が用いられている。

機会があれば「ビーチコウマー」の保存されているサザンプトンの航空博物館を訪ねてみたいものである。


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