2007年04月18日

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(飛行船:308) 『飛行船の黄金時代』 第8章:エッケナー博士に教わった飛行船操縦法(3)

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私が1933〜34年当時、アメリカで気球とグッドイヤーの軟式飛行船(殆どが、グッドイヤー飛行船隊の178000立方フィートの「ディフェンダー」であったが)で経験した空気力学の知識により「グラーフ・ツェッペリン」の乗組員の中での立場は、全くの素人より幾分ましであった。

しかしながら、ドイツ人エキスパート達から教えられた大型硬式飛行船の航行に関する知識は多く、「グラーフ・ツェッペリン」の様々な状態における操作について多くの知見を吸収することが出来た。

飛行船は、可能な限り釣り合わせて飛行させることが望ましい。
もし、飛行船が1トン以上重ければ、通常はガソリンを消費して重量を減らせば良い。
一般に、飛行船は少し軽く設定してあるので浮かんでいる。

平均的に飛行船はピッチ角±1度の状態で運航される。
71.6MPH(毎時115km)で飛行しているとき、ピッチ角は次のような重量に相当する。

 1度  2トン(4400ポンド)
 2度  2トン+1.5トン
 3度  2トン+1.5トン+1トン

高度は毎朝・毎夕、エコロットでチェックされ、日中はエコロットか 瓶の投下で計測される。

前線の通過直後には殆どの場合、高度確認をする。

もし飛行中に高度の精度が疑われる場合、直ちにチェックされる。

慣例として、乗客をあまり煩わせないように空砲発射より瓶の投下で高度を補正することが推奨されていた。

高度は着陸前には必ずチェックされた。

非常に重要なことは昇降舵手の配置であった。

飛行船の「感触」を持ち、それに素早く反応する要員を得ることが重要であった。

飛行船を離陸時から、僅かな突然の上昇・下降をしないように、その現象が生じる前に操舵する必要があった[註1]。

前進で飛行しているとき、雲の中に小さな光の点が見え、そしてその雲の堤がその光点の下に浮かんでいれば、低高度では地表に叩きつける突風のために和らげられるので、上空ほど気流は荒れていない。

通常の飛行高度は、より好ましい風が高々度で見つからない限り575〜820フィート(175〜250m)であった。

しかしながら、もし高々度で飛行していて荒天に遭遇したら、低高度では相変わらず穏やかなので、高度を下げて乱流の下を進んだ。

もし飛行船の条件にましな点を見つけることが出来れば、飛行船の士官達は決して旋回することを躊躇わなかった。

スコール帯か雷嵐に向かって飛行しているときは、仮に飛行船が重くても機首を下げた。最初の上下方向の突風は必ず上向きであった。

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[註1]:2000年に発行されたヘニング・ボエティウス( Heninng Boetius )著「ヒンデンブルク炎上」( Phoenix aus Asche )を入手した。

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著者の父、エドゥアルド・ボエティウスはレークハースト着陸直前に爆発炎上した「ヒンデンブルク」に昇降舵手として乗務していた。
その父から聴かされたのであろう飛行船運航のエピソードがとても面白く参考になる。
お奨めの一冊である。


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