2007年04月19日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

(飛行船:309) 『飛行船の黄金時代』 第8章:エッケナー博士に教わった飛行船操縦法(4)

SugarPot.jpg

[質量]
飛行船のデッドウェイトが飛行時150000ポンド(=68トン)(出発時は146000ポンド(=66.2トン))で、その他全ての荷重は55100〜66100ポンド(25トン〜30トン)であるから通常のケースでは飛行船の質量は220000ポンド、すなわち100トンである。
【著者註:ウェイオフ時には飛行船は浮力と重量が釣り合い、重量なしとなる。すなわち「グラーフ・ツェッペリン」のような大型硬式飛行船では、その推進エンジンでいったん運動しはじめると非常に大きな質量と運動による力が働くことになる】

[非常用バラスト]
【これは前部のフレーム195[註1]に4つ、後部のフレーム20[註1]に4つ保持された各660ポンド(300kg)容量の「ズボン[註2]」に積み込まれているバラスト水のことである。運転室の操作桿によって直ちに660ポンド(300kg)のバラスト水全量を投棄する】
これは『着陸用バラスト』として扱われ、フレードリッヒスハーフェンからペルナンブコへの飛行の中間着陸では用いられない。
前部に1320ポンド(600kg)、後部に1320ポンドの2640ポンド(1.2トン)しか搭載されていない。
中間着陸が行われ、離陸状態が決まっていない場合、3960ポンド(1.8トン)から4620ポンド(2.1トン)の増積された非常用バラストを用いる。
容量は5280ポンド(2.4トン)である。

[トリムバラスト]
これは飲料水、洗浄水以外に搭載されたバラスト水である。
キール周辺に搭載され運転室から制御される。
総容量は17600ポンド(8トン)である。

(続く)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

[イラスト註]:写真は、ハインリヒ窯業社から「LZ-127:グラーフ・ツェッペリン」に寄贈された食器セットのうちの一つ、シュガーポットである。
薄青とベージュと金色で彩色され、「LZ」のイニシャルが入っている。
このポットはいまもフリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館に展示されている。

[註1]:船舶と同様に建造された飛行船は、船体後端の基点である後部垂線を基準点に位置を示す。船舶では肋骨の数で位置を示すが、ツェッペリンの飛行船では後部垂線からメートル表示の距離を表していた。すなわち、フレーム195とは後部垂線から前方に195mの位置であり、フレーム20とは後部垂線の前方20mの位置である。

[註2]:ズボン(バラストズボン)とはバラスト水を入れる縦長の布袋のことである。底に弁がついており、索を引くとバラスト水を船外に排出する仕組みであった。大量の液体を表面積の大きいタンクに入れておくと傾斜した場合、液がタンク内で移動して傾斜を増大させる(自由液面効果)ので、自由液面の影響を局限するために考案された。ドイツ語で ballasthose という。 hose はズボンのことである。
ガソリンも俵状のタンクを吊ってそこに保持されていた。

Comment on "(飛行船:309) 『飛行船の黄金時代』 第8章:エッケナー博士に教わった飛行船操縦法(4)"

"(飛行船:309) 『飛行船の黄金時代』 第8章:エッケナー博士に教わった飛行船操縦法(4)"へのコメントはまだありません。