2008年11月08日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

飛行船四方山話(3):硬式飛行船の乗務員定数

LZ127_crew.jpg

案外知られていないと思うので入門編の第2弾として飛行船の乗組員を取りあげた。

[区分] 乗務員
[級]  初級
[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の乗客定員は20名でしたが、長距離飛行の場合、乗務員はおよそ何人くらいだったでしょうか?

1.約20人
2.約30人
3.約40人
4.約50人

[答] 3

[解説]
飛行船を運航するときの最高責任者は指令です。
操縦室には、水上船舶と同様3直で航海士が当直に立ちます。
このほかに当直船長ともいうべき当直士官(要船長資格)も3直です。
舵手は、水上船舶と同様の方向舵手と、特有の昇降舵手が3直です。
通信士も3直です。
「3直」とは、水上船舶の航海士や機関士にも採用されている当直方式です。
常に責任を委託された担当者が監視しておかなければならない勤務では2人が12時間毎に引き継いで交替する2直と、3人で8時間ずつ当直する3直があります。
3直の場合、連続8時間でなく4時間毎に2回に分けて担当します。
水上船舶では午前0時から4時までの当直は午後も0時から4時までの当直にあたりますが、飛行船の場合、緊張の度合いが違うので、日中は2時間、夜間は3時間の直につきます。次の当直の前2時間あるいは3時間は待機(パケットワッチ)となります。
当直士官、昇降舵手、方向舵手のように操舵室の当直は、その航海中ずっと一緒の組合せで運航にあたります。

彼らには非番のときにも仕事があり、1直の当直士官は運航実務担当士官、2直の当直士官は主計長(パーサー)、3直の担当士官は航海長の職務を担当していました。
当直士官には飛行船船長資格が必要でした。
昇降舵手、方向舵手は非番のときは通常天気図を描いていました。
昇降舵手、方向舵手、セールメーカー(ガス嚢、ガスバルブ、外被、バラスト袋の責任者)には士官食堂のテーブルサービスなどの業務もあり、制御索の点検などもある担当に割り当てられ、一日に2度行われていました。

航行により多少変わりますが、短時間の飛行を除いて次のような配員でした。














指令(要船長資格): 1名
当直士官(要船長資格): 3名
航海士: 3名
昇降舵手: 3名
方向舵手: 3名
通信士: 3名
機関士: 1名
キール技師: 2名
操機手:15名
電気技師: 2名
調理師: 2名
スチュワード: 2名

「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」は旅客用飛行船としての実用実験兼デモンストレーション用として建造されたため、その乗務員は乗客定員のほぼ倍となっています。

この実績をベースに建造された「LZ129:ヒンデンブルク」は乗船客、乗務員とも約50名で完成しましたが、後に乗客定員は72名に増やされました。


Comment on "飛行船四方山話(3):硬式飛行船の乗務員定数"

"飛行船四方山話(3):硬式飛行船の乗務員定数"へのコメントはまだありません。