2008年11月27日

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飛行船四方山話(22):領空通過

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今回は飛行コースについて・・・。

[区分] 運航・航路
[級]  初級

[問題]
ツェッペリン飛行船が南米、北米航路を運航していたとき、北大西洋に出るまでに外国の領空を飛行せねばなりませんでした。
主に使われていたのはどのルートでしょう?

 1.ブレーメンから北海へ出てイギリス諸島を越えて大西洋へ
 2.フランスを横断してボルドーからビスケー湾へ
 3.独瑞仏の国境に近いバーゼルからローヌ川を下り、地中海・ジブラルタル経由
 4.アルプスを越えて、スイス・イタリアに出て地中海・ジブラルタル経由

[答] 3

[解説]
ドイツから地中海に出るには、フランス・イタリア・イギリスなど第一次大戦で勝利した連合軍側の領空を通過しなければならなかったのです。

アルプス越えは高々度を飛ばねばならず、山岳地帯特有の天候急変も頻発するので危険を伴いました。

フランスは領空飛行を認めましたが、ノルマンジーやブルターニュではなく、ブルゴーニュ・プロバンスに限定しました。
バーゼルからフランスに入りブザンソンからリヨンへ行き、そこからローヌ渓谷に沿って地中海に出る航路でした。
ここは標高の高い山に挟まれた狭い渓谷で、ミストラルという北風が吹き、操船が容易ではありませんでした。
巨大な飛行船「グラーフ・ツェッペリン」の飛行が許可されていたのはそこに設定された幅12マイルのコースで、荒天でもそれを越えると農家からパリの某所に電話で通報されることになっていたそうです。
しかし、ここを通過する特権を取りあげられるおそれがあったので決して規定の航路を逸脱しなかったと言われています。
それでも大企業シュナイダー・クルーソ兵器工場の役員は「グラーフ・ツェッペリン」が工場の上空をスパイ飛行して写真を撮影したと申し立てたことがあったようで、DELAG側は神経を使っていたようです。

イギリス諸島など北を通るコースも検討されたことがありますが、低気圧発生の頻度も高く、行程も延びるので望ましくなかったと思います。

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写真は上空からの撮影されたバーゼル


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