2008年11月28日

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飛行船四方山話(23):水面下を航行した飛行船

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今回は飛行船の飛行高度に関する問題・・・。

[区分] 運航・飛行高度
[級]  中級

[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」は海抜零メートル以下を航行したことがあります。
その時の飛行高度は海抜何mでしょう。

 1. −66m
 2. −156m
 3. −176m
 4. −196m

[答] 2

[解説]
「グラーフ・ツェッペリン」は2度、オリエント(中近東)飛行を実施しています。
オリエント飛行は、飛行船航行の素晴らしさを体験して貰い飛行船運航事業に理解を深めて貰うために国会議長など政府要人を招待して1929年3月下旬に行われた飛行と、1931年4月に行われたエジプトに着陸した飛行と2回行われています。
標高零メートル以下の飛行を実施したのは最初のオリエント飛行です。
3月25日の午前1時前にフリードリッヒスハーフェンを離陸して、リヨン、マルセイユ、コルシカ島、ローマ、ナポリなどを巡りました。
エッケナー博士はローマ上空からムッソリーニに無線で表敬の挨拶を送り、ムッソリーニから返信を受信しています。
翌26日にクレタ島、ハイファ、エルサレムを巡航して18時過ぎに死海に向かいました。
エッケナー博士の著書によればエルサレムは高台にあり、その海抜は約800mあります。
死海はそこから地中海と反対側の渓谷部にあり、死海の水面は海面レベルから約400m下にあります。
その日は静穏で昇ったばかりの満月が弱い光で死海を照らし、神秘的であったと博士は回想しています。
ログブックには、このときの高度はマイナス156m、気温18℃と記録されてるようです。
翌日はギリシャを回遊してアルプスを越えてウィーン、ミュンヘン、ウルム経由フリードリッヒスハーフェンに帰投しています。
コンスタンチノープル、黒海に行きたいと思っていたのですが天候が悪く断念したようです。
ちなみにフリードリッヒスハーフェンの標高は約400mです。

エッケナー博士は、このときのことを若い潜水艦長の就任を祝う宴席のスピーチで、私も諸君のように水面下を行ったことがあると言って驚かせたそうです。

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このときは夜のため写真なし
写真は第2回オリエント飛行で撮影されたエルサレム

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