2008年12月25日

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飛行船四方山話(50): 硬式飛行船離陸の手順

LZ130Klant.jpg

硬式飛行船出発の情景・・。

[区分] 運航・出発
[級]  初級

[問題]
ドイツでは基本的に、飛行船は格納庫に収容されていました。
格納庫の中で準備を整えていた飛行船に乗客が乗り組み、そこから曳き出されて離陸していました。
その際、バラストの調整などによるウェイオフ、ハンドレールに掛けられていた砂袋の取り外し、エンジン始動、地上員による曳き出し、索を解放して上昇などの作業手順が各ステップ毎に確認しながら実施されていました。
各作業の行われた順序はどれが正しいでしょうか?

 1. ウェイオフ→曳き出し→砂袋取り外し→エンジン始動→索を解放し上昇離陸
 2. 砂袋取り外し→曳き出し→ウェイオフ→エンジン始動→索を解放し上昇離陸
 3. 曳き出し→ウェイオフ→エンジン始動→砂袋取り外し→索を解放し上昇離陸
 4. 砂袋取り外し→ウェイオフ→曳き出し→索を解放し上昇離陸→エンジン始動

[答] 4

[解説]
ドイツで飛行船を格納庫に収容していたのは、風による振れ廻りで船体に無理な力が働くのを避けるためであったと言われています。
郵嚢や貨物・手荷物を積み込み準備が完了したあと、格納庫内で乗客をキャビンに案内していました。
このあと、用心のためにゴンドラのハンドレールなどに掛けられていた砂袋が外されて非常に重要なチェック、ウェイオフを行います。
非常に体積の大きい飛行船ですから外気温が少し上がるだけで浮力が減り、バラスト水や折角搭載したガソリンまで投下して重量軽減を計ることもあります。
LZ126(ZRⅢ)をアメリカに回送するために1924年10月12日の朝フリードリッヒスハーフェンを離陸しようとしたときは、温かい朝霧のために何度ウェイオフをやり直しても重くて飛び上がれず、出発が翌日に延期されました。
もちろん軽すぎれば浮揚ガスを排出します。
このときは、そのために密航しようとしていた記者とカメラマンが見つかっています。
飛行技師の報告でウェイオフが確認されると200人以上もの地上支援員により発着ポイントまで曳き出されます。
当直航海士の「タウエ、ロス(索解放)!」の号令で飛行船はゆっくり上昇します。
そこでトリムが正常なことを確認して、エンジンテレグラフでエンジンゴンドラの操機手に「始動」、「前進原速」を指示します。
これでエンジンが回り始め、目的地に向かって前進を始めるのです。


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