2009年01月07日

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飛行船四方山話(63): グラーフ・ツェッペリンの運航実績(3)

LZ127PC002.jpg

洋上を彷徨ったこともあった・・。

[区分] 運航・実績
[級]  中級

[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」が就航中に記録した最も長い無着陸飛行時間は何時間程度だったでしょうか?

 1. 95時間
 2. 101時間49分
 3. 105時間
 4. 118時間40分

[答] 4

[解説]
「グラーフ・ツェッペリン」は1935年の11月7日にフリードリッヒスハーフェンを出発し、その年の16回目の南米飛行リオ・デ・ジャネイロに行きました。
途中、いつものようにレシフェに寄港してリオ・デ・ジャネイロに行きましたが、このときはレシフェ→リオ→レシフェを2度飛行しています。
復路では往路寄港しなかったスペインのセヴィリアにも寄港して12月10日にフリードリッヒスハーフェンに帰港しました。
滞空時間記録を作ったのはこのときです。
アフリカのバサーストとブラジルの間をルフトハンザの飛行艇「ヴァル」が郵便物を積んで飛んでいました。ところが航続距離が足りないため大西洋の中間に汽船「ヴェストファレン」を配置して、その傍に着水して燃料を補給し同船のカタパルトで射出して大西洋を渡っていたのです。
たまたま、母船「ヴェストファレン」が定期入渠のため引き上げていたのでアフリカと南米の航空郵便が途絶することになり「グラーフ・ツェッペリン」が肩代わりすることになったのです。
レシフェには繋留柱がありますが、バサーストにはそんなものがないので空中にホバリングして郵嚢を投下し、地上からは鉤索で吊り上げて戻るという原始的な方法で、郵嚢だけを届ける飛行を行っています。
11月15〜18日、11月22〜27日、11月29日〜12月2日の3回実施しました。
滞空時間記録はその2回目の飛行のときに起きたトラブルによるものです。
経済的に行き詰まっていたブラジルで暴動が起きて、ペルナンブコのレシフェもこれに巻き込まれてしまいました。
無線連絡で、安全が保証できないから着陸を待てと言うのです。
何とか暴動も収まり、海上で彷徨っていた「グラーフ・ツェッペリン」は1日か2日後に帰港することが出来ました。
このときの滞空時間は118時間40分でした。
回答群のなかの95時間はアフリカ船「L59」の飛行時間で、101時間49分は「グラーフ・ツェッペリン」の世界周航の最長区間フリードリッヒスハーフェン・霞ヶ浦間の飛行時間、105時間はヨーロッパ・リオデジャネイロ間の平均所要時間です。

なお、この郵便飛行の指令であったレーマン船長の著書では航行中の船舶から食料品を無心したとありますが、彼の著書はどの記述がフィクションで、どれがノンフィクションか判らないところがあり、真偽の程は不明です。


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