2009年03月18日

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飛行船四方山話(130): グラーフ・ツェッペリンのアンテナ

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飛行船には長波、短波の送受信機が設けられていた・・。

[区分] 装備・計器
[難易度]中級

[問題]
「グラーフ・ツェッペリン」にはテレフンケンの長波・短波それぞれに送信機と受信機がありました。
これら送受信機のアンテナはどのように装備されていたのでしょう?

 1. 飛行船胴体上面を上部垂直安定板頂部まで張られていた。
 2. 飛行船胴体の下面を下部垂直安定板前縁まで張られていた。
 3. 飛行船胴体の上部からマストを立てて銅線を垂らしていた。
 4. 飛行船船首から長い銅線を錘で下げていた。

[答] 4

[解説]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」には、その当時の航空機として最新鋭のものが装備されていました。
3人の無線通信士が地上局や船舶との交信を行い、無線航法を実施し、気象予報を受信し、乗客のための個人的電報も送信していました。
世界周航のときなどは、有料の乗客は2名だけでその他は領空通過各国の政府代表と英独仏日など各国新聞社の特派員だったので無線の取り合いが大変だったようです。
1KWの真空管式送信機(アンテナ出力約140W)を波長500〜3000mの長波で電報の送信に使われていました。
アンテナ出力70Wの緊急用送信機は波長300〜1300mで蓄電池でもガソリン発電機でも作動させることが出来、電報にも無線電話にも使うことが出来ました。
主アンテナは2本の120mの先端に錘のついた電線で構成されていました。
それは電動モーターでも手動ハンドルでも昇降させることが出来ました。
緊急用アンテナは40mの電線で飛行船船体のリングから展開されていました。
3台の高級受信機は、それぞれ6球で波長120〜1200m(中波)、400〜4000m(低周波)、3000〜25000m(低周波と超低周波の重複波用)でした。
それに加えて、無線室には波長10〜280m(高周波)用の短波受信機もありました。
大型旅客船で無線航法に用いられる、飛行船の位置を陸上か船上に設置された2個所の無線発信器から回転可能なリングアンテナによって決定できる最新型方向探知機も設置されていました。
最初の訪米飛行中にこの無線室から484通の個人電報と160通の報道電報が送信されたといわれています。

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