2009年09月22日

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近代的旅客用飛行船の系譜(1) はじめに(1)

LZ120_5.jpg

ツェッペリン飛行船と一口に言っても、試作飛行船、軍用飛行船、海外向け飛行船、旅客用飛行船と用途は様々である。

軍用飛行船には陸軍飛行船、海軍飛行船があり、それぞれに偵察用、爆撃用がある。
また、急速に技術的進展を遂げた迎撃用戦闘機の攻撃を回避するために第一次大戦後期には高々度用飛行船(ハイトクライマー)も建造された。

軍用飛行船として建造された飛行船は陸軍船42隻、海軍船63隻にのぼり、第一次大戦の終戦時には「LZ115」から「LZ119」までが建造中であり、隻数としては圧倒的に多い。

そして、大戦が終わると連合国側はドイツの硬式飛行船を根絶やしにしようとヴェルサイユ条約でドイツの飛行船建造および運用に非常に厳しい制約を科した。

それにも関わらず、忽然と本格的旅客用飛行船「LZ120:ボーデンゼー」が出現したのである。

「LZ120:ボーデンゼー」と、その姉妹船「LZ121:ノルトシュテルン」は、戦時賠償としてイタリアとフランスに取り上げられたが、アメリカに対する戦時賠償として「LZ126」が認可され建造された。

実に不可思議である。

これまでツェッペリン飛行船に関する多くの書籍が発行されているが、その経緯を説明したものは殆どない。

旅客用飛行船としては大戦前にも「LZ6」、「LZ7:ドイュチュラント」、「LZ8:ドイッチュラントⅡ」、「LZ10:シュヴァーベン」、「LZ11:ヴィクトリア・ルイゼ」、「LZ13:ハンザ」、「LZ17:ザクセン」があったが、これらとは全く系列を異にする流線型の船体と十字尾翼の近代的な飛行船が唐突に出現したのである。

この近代的飛行船はどのような目論見で計画され、誰が基本設計を行ったのか、今まで謎に包まれていた部分を調査中であるが、その中から判明したことを紹介しようと思う。

併せて、夢の乗り物と言われた「LZ129:ヒンデンブルク」とその姉妹船「LZ130:グラーフ・ツェッペリンⅡ」のアコモデーションの違いなどについても触れたいと思っている。

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