2010年01月20日

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北大西洋航路用新造旅客船の建造

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「コルンブス」の順調な運航状況を見て、北ドイツロイドは同船とトリオを組んで北大西洋航路定期運航を行うために2隻の新造船を発注した。

1隻はブローム・ウント・フォス社のハンブルク造船所との間で1926年12月13日に、もう1隻はデシマーク社のブレーメン造船所と翌日に契約された。
このときの契約された両船の大きさは「コルンブス」の32581総トンよりやや大きい3万5千総トンであった。

両船の起工の日付は違うものの、船舶建造最大のイベントである進水式も1928年8月15/16日と一日違いで実施された。
船主の首脳陣が同じ日にハンブルクとブレーメンに臨席することが出来ないからである。
しかし、間もなく2隻の新造船は4万6千総トンに変更された。
イギリスのキュナード社が保持している北大西洋横断速度記録を狙うには大型化する必要があった。

モーターボートや水中翼船のような舟艇ではなく、いわゆる排水量型船舶の最高速度はその船の長さによって決まってしまう。
仮に出力10万馬力であった船舶の主機を20万馬力にしてもそれによって最高速度はほとんど変わらない。
それが船型上の上限速度であれば30万馬力にしても出力増加分は推進抵抗として消費されてしまう。
これはウィリアム・フルードの研究にによって判明したものでフルード則と呼ばれている。

両船は姉妹船ではあるが総トン数も主要寸法も同一ではない。
基本設計に基づいて契約され、詳細はそれぞれの造船所のプラクティスによって展開されたからである。

その設計は、在来の船舶を一挙に旧式化させるほど斬新なものであった。


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