2010年07月07日

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飛行船四方山話(182):原動機とその燃料

Motorgondel_1.jpg

飛行船の動力と燃料のはなし・・

[区分]設計:原動機

[難易度]初級

[問題]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」と「LZ129:ヒンデンブルク」のエンジンと燃料に関する次の記述のうち、正しくないのはどれでしょうか?

1.「グラーフ・ツェッペリン」はマイバッハのガソリンエンジンで駆動され、
  燃料にはガソリンもブラウガスも用いることが出来た。
2.「ヒンデンブルク」にはダイムラー・ベンツのディーゼルエンジン4基が用いられた。
3.「グラーフ・ツェッペリン」も「ヒンデンブルク」もエンジンゴンドラは4基装備されていた。
4.「ヒンデンブルク」では燃料ガス嚢は用いられていない。

[答]

[解説]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の設計にあたって、目標航続日数は5日間と設定されました。
当時ツェッペリン飛行船製造社にあった建造用格納庫は、長さ192メートル、幅32メートル、高さ28メートルのものと、長さ235メートル、幅40メートル、高さ35メートルのものしかなく、募金で集めた資金も不足しており、この格納庫で建造するしかなく、ここで建造するしかありませんでした。
原動機には「LZ126:ZRⅢ」に採用したマイバッハV型12気筒のVLⅠ型400馬力を改良したVLⅡ型530馬力を用いることにしましたが、搭載するエンジンは4基から5基に増やしています。
巡航時には4基を運転し、順次休止させて点検・整備に充てる計画でした。
それにしても、それをガソリンで運転しようとすると大量のガソリンを搭載せねばならず、燃料消費に従って船体重量が軽くなり、貴重な浮揚ガス、水素を放出せねばならなくなります。
このためエンジンをガソリンでもガス燃料を用いることにしました。
現在、タクシーで使用しているプロパンガスのように圧縮して液化するのではなく空気とほぼ同じ比重の気体として燃料ガス嚢に収容していました。
大量に燃料を消費しても殆ど船体重量が変わらず、浮揚ガスを放出せずに済むからです。
しかし、「LZ129」を建造するときにはガス容量が20万立方メートルと「LZ127」の倍近く増大したことと、燃費の良いディーゼルエンジンを採用することになり、燃料には軽油が用いられました。


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