2010年07月12日

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飛行船四方山話(185):ラウンジのピアノ

LZ129_Piano_1.jpg

「ヒンデンブルク」のラウンジにはピアノがあった・・

[区分] 船内装備

[難易度]初級

[問題]
飛行船「ヒンデンブルク」のラウンジにはブリュートナー製のピアノが置かれていました。
不燃性を重視するあまり衣装棚のハンガーから子供用の椅子までアルミニューム製にしたアメリカの建造したスーパーライナー「ユナイテッド・ステーツ」に搭載されたピアノは不燃加工を施したマホガニ材で作られていました。
「ヒンデンブルク」のピアノの素材は何だったのでしょうか?

1.マホガニのような木製
2.軽量化のため合板製
3.アクリルのような樹脂製
4.アルミニューム合金製

[答]

[解説]
「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」の次に計画された本格的旅客用飛行船「LZ128」は水素船として設計されましたが、浮揚ガスに不燃性のヘリウムを用いる「LZ129」が建造されることになり、「LZ128」の計画は中止されました。
しかし、ヘリウムは非常に高価であり、比重も水素に較べて重かったので「ヒンデンブルク」のガス嚢には2重ガス嚢が真剣に計画されました。
内側のガス嚢に比較的安価で揚力の大きい水素を充填し、それを外側のヘリウムガス嚢で完全に覆う設計でした。
ヘリウムは不活性ですから引火する可能性のある水素を遮断しようとしたのです。
しかし唯一、工業的にヘリウムを生産していたアメリカがヘリウムの輸出を認めませんでした。
それで「ヒンデンブルク」は水素船として建造され、過剰の浮力をコンペンセートするためにラウンジにピアノを置くことになったのです。
ピアノメーカーのブリュートナーに重量400ポンド以下の小型のグランドピアノが特注されました。
このピアノの筐体はアルミニューム合金で、それに黄色い豚革を貼っていたと言われています。

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