2010年08月05日

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新刊書「LZ129:ヒンデンブルク」

LZ129Waibel.jpg

予約していた標記書籍が届いた。

"ZU GAST IM ZEPPELIN" の著者である Barbara Waibel 女史の新刊である。

副題を「空の豪華ライナー」とするこの本は先月エアフルトで刊行された。

5章から構成され
1章は「旅客用飛行船のたどってきた道」
2章は「『ヒンデンブルク』建造の資金調達」
3章は「『ヒンデンブルク』による巡航」
4章は「『ヒンデンブルク』の航行」
5章は「ツェッペリン飛行船運航の終焉」
となっている。

30枚以上に及ぶ建造中の写真、カウンタ越しに客にカクテルをサービスするバーテンダーやその背後の壁に描かれたスペインの歌手や楽士など船内各部の写真など始めて見る写真も多い。

私事になるが、硬式飛行船の開発/運航や、それにたずさわった人達の仕事を調べ始めるきっかけは、ヴァイベル女史・キッセル女史共著の「ツェッペリンの乗客として」という書籍を東京・大手町の某書店で見つけたことであった。
在庫書籍整理のため、半額のラベルを貼られていたのである。
フリードリッヒスハーフェンのツェッペリン博物館から発行されたその本には、キャビア、伊勢エビ、ハムなどを使った料理のレシピが詳しく載っている。
その当時、国内で発行されていた飛行船関連の書籍は無いわけではなかったが明らかに怪しい記述も多く、原典を調べなければと思っていたときにこの半額セールは有難かった。
この新刊のまえがきと1章を読んでみたが、「LZ129:ヒンデンブルク」のことだけではなく「LZ120」「LZ126」「LZ127」、それに米国の「アクロン」「メーコン」、英国の「R100」、「R101」に関しても適切な紹介がなされている。
2章では、ツェッペリン飛行船製造社所蔵になる建造中の多くの写真が解説付きで掲載されており、そのなかには写真家になったエッケナー博士の長女ロッテ・エッケナーの撮影した写真もある。
3章では「ヒンデンブルク」船内の大きな写真が30葉以上載っており、はじめて見るものも多い。
4章にも航行中の外観写真や乗船者の写真など貴重な写真が多い。
5章では、レークハーストの惨事の時点に乗員の居た位置が、その生存/負傷/死亡の別とともに描かれている配置図に吃驚した。これまで知らなかった乗組員の事故当時の配置もこれで知ることが出来た。

ささやかな旅客用飛行船史の調査に大きなプレゼントを貰ったような気がする書籍である。

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