2011年04月07日

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ブルーバックス

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先日、久しぶりにブルーバックスを買った。

「エンジンのABC」である。

技術屋ではあったが私の場合、造船技師であった。

造船所は船の設計を行って詳細な図面に展開したあと、厚さ・幅・長さを指定して製鉄会社に鋼板の製造を発注する。

そのため造船技師の仕事は多岐にわたる。
発注者と詳細な打ち合わせをして就航する航路や入出港する港湾を勘案して長さ・幅・喫水・積載重量や、速度・航続距離などの仕様を決定し、基本設計を行って監督官庁や船級協会の承認を得る基本設計もその一部である。

建造契約に添付する基本設計図を含む仕様書はどのような船舶を建造するかを確定するためのものであり、それを建造するためには鋼板や水、油、蒸気、電線等を船内に張り巡らせるための配管や主機、補機を設置する台座などを板圧、切り代、溶接、鋲やボルト締め、あるいは曲げ加工するための数千枚の工事用図面も必要である。

さらにそれらを完成・引き渡しまで建造工程に従って行う現場の工事管理や品質保証も造船技師の仕事である。

造船所にはエンジン、発電機なども装備するので機械工学や電気技師も働いているが、これらはメーカーに発注して検収し取り付けるので購買課やメーカー相手の仕事となる。

世間一般ではエンジニアというと機械屋を指すことが多いが、彼らは職場に配属されて1、2年もすればメーカーの担当を相手に折衝したりする。

ところが造船屋は4、5年ではまだ経験不足の半人前である。

それで、電気も機械も基本的な知識は必要であるが詳細は機械屋、電気屋に委ねることになる。

そういう意味でこの本は、意外に面白い。

標題は「エンジンのABC」であるが、著者は「エンジンのHIJ」くらいを目指して書いたと述べている。

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