2006年03月15日

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(船舶の絵葉書:32)アメリカ

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ユナイテッド・ステーツ・ラインの「アメリカ」のこの絵葉書はニューヨークで発行されたものである。

裏には「長さ723フィート、総トン数33532トン。この素晴らしい米国籍の豪華ライナーは大西洋横断航路に定期就航し、アイルランドのコーブ、フランスのルアーブル、イギリスのサザンプトン、ドイツのブレーマーハーフェンとを結んでいる。世界最速のスーパーライナー『ユナイテッド・ステーツ』と組んで運航されている。」と注記されている。

第一次大戦の賠償としてハンブルク・アメリカ・ラインの「ファーターラント」を獲得したアメリカの船舶院はこれを「リバイアサン」としてAB船級に入級するための改造のため、建造所のブローム&フォスに設計図を要求したところ、造船所は100万ドルと法外な価格を提示した。
このため、設計を請け負ったフランシス・ギブスは多数の設計技師を動員して5万トン級客船の設計図を書き上げてしまったことは有名である。

そのギブスが最初に設計した新造客船がマトソン・ライン向けの「マロロ」である。

その次に彼が設計したのが「アメリカ」である。

「リバイアサン」の後継船としてギブスの設計に基づきニューポートニューズ造船所で建造された。

船体の大きさは違うが、特徴ある太い2本のファンネルなど外観は戦後建造されたスーパーライナー「ユナイテッド・ステーツ」とそっくりである。

いわば「アメリカ」は設計・建造過程の諸問題を解決するための「ユナイテッド・ステーツ」のプロトタイプだったのである。

第二次大戦では兵員輸送船「ウェスト・ポイント」として徴用されたが戦後「アメリカ」に戻っている。

1964年にギリシャのチャンドリスに売船され「オーストラリス」と改名されたあと転々とし1994年にカナリー諸島沖で難破しその後解体された。

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