2006年11月03日

*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***

(飛行船:136) ツェッペリンアルバム(写真:第24回) 写真40 −海軍飛行船L48−

Bild40.jpg
[40枚目:海軍飛行船「L 48」 1917年]

海軍飛行船「L-48(LZ-88)」は上昇高度が5500mに到達した。

C.Stephenson著「Zeppelins: German Airships 1900-40」によれば「L-42(LZ-91)」と「L-43(L-92)」で上昇限界高度が5500mに達し、「L-44(LZ-93)」と「L-46(LZ-94)」で部分改良されその後にほぼ同じ上昇性能の「LZ-48」「LZ-49(LZ-96)」「L-51(LZ-97)」「L-52(L-98)」が建造された。
(大戦末期には上昇限度が7000mに達する飛行船も数隻建造されている。)


それで乗組員は最初、酸素ボンベを持って乗船していたが、後に液体空気を装備したとツェッペリンアルバムには記述されている。
おそらく本船側に酸素ボンベとその配管が設けられたのであろう。

( kuenstliche Atmung ) は直訳すると人工呼吸となるが、酸素マスクのことと思われる。

高度4500m以上では酸素マスクの使用が必要であった。

関根伸一郎著「飛行船の時代」(丸善ライブラリー)には
『30時間以上に及ぶ飛行船の操縦はひどく体力を消耗する極限の任務だった。
大型化した飛行船は6000メートル近くの高度まで上昇することもあり、気温はマイナス24度にも下がり、涙は出るし、まつ毛は凍り、視力も減退する。
心身の苦痛、知覚、注意力、情緒、意志、反射神経にも大きく作用し、運動失調、記憶喪失、妄想、呼吸困難、情緒不安定、頭痛、嘔吐などさまざまな症状を誘発する。
酸素マスクをつけての爆撃は命がけの作業だった。
こうした経験からようやく航空心理学、酸素欠乏症、高空病に対する認識と研究がはじまった。』
と述べられている。

こうまでして高々度を飛行するのは、ガス嚢に水素を満たした大きく格好の射撃目標となる飛行船が迎撃戦闘機を回避しようとするためであった。

しかし、この「L-48」も就役の年に迎撃戦闘機に食われてしまった。


Comment on "(飛行船:136) ツェッペリンアルバム(写真:第24回) 写真40 −海軍飛行船L48−"

"(飛行船:136) ツェッペリンアルバム(写真:第24回) 写真40 −海軍飛行船L48−"へのコメントはまだありません。