2007年10月18日

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(飛行船:466)「飛行船と飛行船の旅」

Engberding_Buch.jpg

このたび入手した書籍は1926年にベルリンのVDIから出版され、「飛行船と飛行船の旅:(Luftschiff und Luftschiffaher)」というタイトルである。

その過去と現在、未来と副題をつけたこの本の著者はエングベルディングという海軍の造船技術士官である。

1926年といえば、存亡の危機にあったツェッペリン飛行船製造がアメリカ向けの賠償船「ZRⅢ:ロサンゼルス」を建造し、レークハーストまで引き渡し飛行を行った翌々年である。

エッケナー博士は、次の飛行船を建造する資金を得るために「ツェッペリン・エッケナー義捐金」を立ち上げて、国内を講演旅行で走り回っていた時期である。博士の著書によれば1925/26両年で百回の講演を行い、生涯で一番疲労困憊した時期であると述べている。

まだ、ツェッペリン飛行船の「LZ127:グラーフ・ツェッペリン」が完成したのは1928年の夏である。

その時期にシュッテ・ランツでは大西洋を横断する大型旅客用飛行船「アトランティック」プロジェクトを打ち上げている。

SchuetteLuftschiffe.jpg

付図のシルエットによると、1918年に終戦のため未成に終わった「SL24」より僅かに短いので長さは230m前後であると思われる。
その図表によると建造年は1920年とされている。

Atlantik.jpg

この想像図によると乗客ゴンドラが非常に長く「グラーフ・ツェッペリン」の倍はありそうである。

後部エンジンゴンドラが低すぎるのがちょっと気になる。

AtlantikDiele.jpg

客室のラウンジである。
やはり両舷はプロムナードが前後に通じている。

AtlantikSpeisezimmer.jpg

ダイニングである。ここはゴンドラの全幅にわたっている。

6人掛けにしてはテーブルが狭いが船内のことなのでやむを得ないのであろう。
この椅子では窮屈な人も居るかもしれない。

AtlantikKabine.jpg

ツインキャビンである。

寝台は2段であるがプルマン式ではなく固定で、進行方向に沿って設けられている。

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この本は、出来たばかりの「ZRⅢ:ロサンゼルス」の詳細や、シュッテ・ランツ飛行船の細部ばかりでなく、ドイツの水素製造プラントや、テキサスのヘリウムプラント、それに各基地にガスを供給する列車や、ノルトホルツの回転式格納庫など、どうしていたのだろうと兼ねて疑問に思っていたことを解決する写真やスケッチが豊富で、非常に貴重な資料である。

紹介してくれたG氏に感謝するばかりである。

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