2009年06月18日

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旅に遊歩甲板は必要

LZ129_Adeck_1.jpg

客船でも飛行船でも飛行艇でも、海外航路に就航する乗り物に遊歩甲板は必要である。
1929年に完成した北ドイツロイドの客船「ブレーメン」には、サンデッキ・上部プロムナードデッキ・メインプロムナードデッキに1等船客用プロムナード、サンデッキの後端とAデッキ後部に2等船客用プロムナード、Bデッキ後部にツーリストクラス用プロムナード、前部に3等船客用プロムナード、Cデッキ後部に非番乗組員用プロムナードが設けられていた。
そのほかにサンデッキの1層上の郵便機を射出するカタパルトが設置されているデッキは1等船客用遊歩上になっていた。入港前に郵便機を射出する状況を見学できるのは1等船客だったということになる。
船の旅はそれほど広々としたものであった。
これが標準と考えられていたので、飛行船も飛行艇も乗客の居住区画には留意していた。

上掲のイラストは「LZ129:ヒンデンブルク」Aデッキ右舷側のラウンジと、その外側のプロムナードデッキである。
ラウンジにはブリュートナーのピアノが置いてあり、その外側のプロムナードデッキにはベンチが用意されている。

C_class_prom.jpg

これは「Cクラス」と呼ばれたショート・エンパイアのプロムナードデッキである。
短距離飛行では22〜24名乗せることが出来、夜間は16名が眠れる客室で、サロンやプロムナードラウンジを設けていた。
長距離飛行では朝・夕食は寄港地のホテルでとるが、昼食は座席でとることになる。
しかし、ラウンジに移って食事を楽しむことも出来たはずである。

M130_2.jpg

パン・アメリカンが太平洋に就航させていた「チャイナ・クリッパー(マーチンM130)」では大きなテーブルのある食堂があった。

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ボーイングB314には客室デッキの中央にラウンジがあり、そこで食事が提供されたが、この写真のようにコンパートメントでのサービスもあったようである。

B314_3.jpg

コンパートメントは、それぞれにスペースや内装に相違があり、ハネムーン用のコンパートメントもあったという。

B314_4.jpg

就寝前には乗務員によってベッドメーキングが行われ、横になって休むことが出来た。

LZ127_Roung_1.jpg

乗客定員わずか20名の飛行船「グラーフ・ツェッペリン」には展望プロムナードを設置するスペースはなかったが、ラウンジ兼用のダイニングを設け、ディナーのメニューやワインリストが用意されていた。
世界周航では、ここで蓄音機によるダンスも行われたことがある。

これらは飛行船や飛行艇に限ったことではなかった。
プロペラ旅客機の傑作であるダグラスDC3はダグラス・スリーパー・トランスポート(DST)という2段寝台機を、21席昼間仕様に再設計したものである。


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