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飛行船に乗った記念にフライト・アテンダントのSさんにシャッターを押して貰ったり記念写真を撮ったりしていると、フリードリッヒスハーフェンに近付いていた。操縦席との間に仕切りもないのでフロントも計器パネルもすぐ目の前である。発着場の上空に来ると、第2便の乗客がDさんに誘導されて、2列縦隊に並んでいるのが見えた。
乗客を乗せ替えるときは最初に乗せるより簡単であることは理解できる。2人降りて2人乗り込むことを繰り返せば船体重量に2人分の体重程度の変動があるだけで大きな状態変化は生じない。
最初に乗り込むときはどうだったのだろう?我々が乗り込むとき、乗っていたのは乗務員だけであったので乗客が乗ると船体重量が増える。地上支援員はパイロットと連絡を取りながら2人ずつ載せていた。12人も乗るとそれだけ自重が増えるはずであるが、バラスト放出もなかった。浮力はプロペラをチルトさせてそのスラストで調整していたのであろうか?テイクオフもプロペラのチルトで行うため実になめらかであった。
発着時刻もタイムテーブル通りで、午前9時0分に離陸して、下船したのは午前10時0分であった。これはおそらく偶然であろうが、初めて乗る身にしては驚きであった。
ホバリングしたまま、素早く乗客を乗せ替えるとそのまま浮揚していった。パイロットも乗客も窓から手を振っている。黄色のジャケットを着たDさんも手を振って見送っていた。
そこから歩いて乗船前に案内された待合室に戻り、ちょっとしたセレモニーがあった。用意されていたスパークリングワインが配られて、お疲れ様でしたと乾杯したあと、1人ずつ名前を呼ばれて、日付と名前の書き込まれた乗船証明書を手渡され、50ページほどの名前入りのフライトブックが配られた。ツェッペリン飛行船の歴史からツェッペリンNTの仕様まで入った立派なフライトブックである。飛行記念にふさわしい良いセレモニーであった。