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(南独飛行船紀行:4) ツェッペリンNT乗船(2)

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 ツェッペリンNTはマンツェルから湖岸に沿ってさらに西へ向かった。離陸して10分もしないうちにインメンシュタットに来た。広い窓から見下ろすと大きなオートキャンプ場が目に入った。広い施設ではあるが場内いっぱいにキャンピングカーが駐車して、テントを展開したりしていた。優に百台は越える。しかし場外に不法駐車しているような車はいない。整然としたものである。9時過ぎなので朝食を楽しんでいる時間なのであろうか、人影は殆ど見あたらない。

 隣接する船溜まりにはヨットや小型のボートが数十隻繋留されている。陸に引き上げられた艇も見える。ここまで湖面を見ていると湖底の藻が茂っているのか、湖底が起伏しているのか水面に濃淡が模様になって美しい。浮遊ゴミも汚水流入も見あたらないのは住民の湖を守る気持ちの表れであろう。

 インメンシュタットを過ぎたあたりから、飛行船は針路を西南西にとって湖面上に出た。ボーデン湖を斜めにわたってスイス側に向かう。湖面上に航跡を残して白い連絡船が東に向かっていた。傾斜も揺れもなく静かな飛行船遊覧は実に快適である。10分もしないうちにスイス側の湖岸に近付いた。クロイツリンゲンの東郊である。

 クロイツリンゲンはドイツ側のコンスタンツと隣接しており、国境に制服を着た掛員はいるが、パスポートも提示を求められたり、そのままフリーパスで通過させることもあるようである。今回我々がスイスからドイツに入るときも一時停車しただけでそのまま通過した。そのとき聞いた話によるとスイスは物価が高いのでスイスからドイツに買い物に来るということであった。スイスの通貨はスイスフランである。

 ツェッペリンNTは右舷に転舵し、コンスタンツ上空に来た。ライン川はここから西に下り、シャフハウゼンでラインの滝になって北海に流れ込む。パイロットの肩越しにコンスタンツの街に流れ込むライン川が見えてきた。ちょうど連絡船が川を下っていたが意外に小さな流れである。

 その川口の南側にシュタイゲンベルガー・インゼル・ホテルが建っていた。その周囲に掘り割りが巡らされ、本土と離れているのでインゼル(島)ホテルと呼ばれている。ここは13世紀に建てられたドミニカ修道院であったが、ツェッペリン伯爵家に買い取られその屋敷として使われていた。硬式飛行船の発明者であるフェルディナンド・フォン・ツェッペリン伯爵の生まれた館である。

 その南はコンスタンツ中央駅で、赤や白に塗られた観光列車が出入りしているのが見えた。離陸してほぼ20分経過していた。ボーデン湖畔で一番大きい街の上空でゆっくり北に変針して、花と熱帯植物の島マイナウに向かった。時々写真撮影のために大きく切り開けられた右舷窓のヒンジ部を開けると爽やかな風が入って来るが、そこにはちょっと気難しげな親爺が頑張っていたので、2駒ほど撮ったらすぐに閉めるようにしていた。

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2007年08月22日 09:55に投稿されたエントリーのページです。

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